「金利0円」「手数料なし」——その言葉、どこまで本当か
「自社ローン」とは、信販会社や銀行を介さず、販売店自身がお客様から代金を分割で受け取る販売形態のことです。法的には、お金を貸す「金銭の貸付け」ではなく、商品代金の支払いを分割にする「割賦販売」という契約の形を取るのが一般的です。
ここで押さえておきたいのは、この契約形態では、貸金業のローンで求められるような「実質年率◯%」という金利表示の仕組みの外側で価格設定がなされやすい、という制度的な背景です。そもそも「金利」という項目が契約上に登場しないため、「金利0円」「手数料なし」という表示自体は、嘘ではないことが多いのです。
しかし、金利がゼロであることと、支払総額が安いことは、まったくの別問題です。販売店も事業として分割払いの未回収リスクを負う以上、そのコストはどこかで回収する必要があります。金利という「見える形」で受け取らないのであれば、別の「見えにくい形」で価格に含まれている可能性を考えるのが自然です。次の章で、その代表的な構造を見ていきます。
カラクリの正体:車両価格への上乗せ
同じ車が「相場より数十万円高い」ことがある理由
金利0円をうたう分割払いでよく見られるのが、回収リスク分をあらかじめ車両本体価格や諸費用に上乗せしておく、という価格構造です。数字のイメージを、架空の例で見てみます。
金利0円・24回払い → 総支払額120万円
※上記はあくまで架空の数値例です。特定の店舗・サービスの価格を示すものではありません。
この場合、確かに金利は1円も発生していません。しかし、同じ条件の車の相場が80万円だとすれば、買い物全体としては相場より40万円高い買い物をしたことになります。値札の段階で上乗せされていると、月々の支払いに「利息」という項目が見えないため、負担の実感が湧きにくい。これがこの構造の特徴です。
もちろん、すべての販売店がこうした価格設定をしているわけではありません。大切なのは、「そういう価格構造が存在し得る」ことを知ったうえで、相場との比較で確かめることです。
実質金利に換算するといくらになるか
先ほどの架空例を「実質的に80万円分の車を手に入れ、24回で総額120万円を支払う」お金の流れとして見ると、上乗せ分40万円は実質年率に換算しておよそ40%に相当する計算になります(単純化した概算です)。
一方、正規のローンの金利は、銀行系マイカーローンで年1.6%〜、信販系オートローンで年5.5%〜が一つの目安です。過去の延滞などで審査が通りにくい方向けの正規ローンでも、年9.8%〜という水準があります(いずれも下限であり、実際の適用金利は審査の結果により異なります)。この中でもっとも高い年9.8%・24回払いで80万円を借りたとしても、月々約36,800円、総支払額は約88万円です。
つまりこの架空例では、「金利0円」の総支払額120万円よりも、「金利9.8%」の総支払額約88万円のほうが、およそ32万円安いという逆転が起きます。金利の数字だけを見て「0円のほうがお得」と判断すると、結論を誤ることがあるのです。