クルマとお金の教科書

完済しても信用情報が育たない問題

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自社ローン(販売店の分割払い)には、金利や総支払額とは別の、見えにくいデメリットがあります。それは、何年きちんと支払い続けても、その実績が信用情報機関に記録されないことです。数年かけて完済しても、金融の世界では「実績ゼロ」のまま。この記事では、その仕組みと、将来のために信用情報を「育てる」支払い方を解説します。

目次
  1. 信用情報とは何か——CIC・JICCに記録される「支払いの履歴書」
  2. 自社ローンの支払いは、信用情報に一切記録されない
  3. 数年かけて完済しても「実績ゼロ」——将来こう響く
  4. 信用情報を「育てる」支払い方とは
  5. まとめ

信用情報とは何か——CIC・JICCに記録される「支払いの履歴書」

信用情報とは、クレジットカードやローンなどの契約内容と支払い状況を記録した、個人ごとの情報のことです。日本には、この情報を管理する信用情報機関が主に3つあります。

  • CIC——クレジットカード会社・信販会社が主に加盟
  • JICC(日本信用情報機構)——消費者金融・信販会社などが加盟
  • KSC(全国銀行個人信用情報センター)——銀行・信用金庫などが加盟

住宅ローンやクレジットカード、マイカーローンの審査では、金融機関がこれらの機関に照会し、申込者の過去の契約と支払い状況を確認します。いわば信用情報は、お金の支払いに関する「履歴書」です。

そして重要なのは、この履歴書には「良い記録」も積み上がっていくことです。ローンを契約し、期日どおりに支払い、完済する。この積み重ねはクレジットヒストリーと呼ばれ、将来お金を借りるときに「この人は約束どおり支払う人だ」と判断してもらうための客観的な材料になります。逆に、利用実績がまったくない状態は、支払いぶりを判断する材料がない状態でもあります。

自社ローンの支払いは、信用情報に一切記録されない

自社ローンは、販売店とお客様が直接結ぶ割賦契約です。信販会社や銀行を介さないため、販売店自身が信用情報機関に加盟していない限り、契約の情報も毎月の返済状況も、信用情報機関には登録されません。そして一般に、自社ローンを行う販売店の多くは信用情報機関に加盟していません。お金の流れで比べると、次のようになります。

信販会社・銀行を通す正規ローン

購入者 信販会社・銀行 信用情報機関に契約・返済が記録される

自社ローン(販売店の分割払い)

購入者 販売店 信用情報機関には何も記録されない

※販売店と購入者の間で契約が完結し、信用情報機関への登録経路がありません。

つまり、自社ローンで車を買い、毎月きちんと支払い続けていても、その事実は金融の世界からは「見えない」ということです。数年間の支払いの頑張りが、信用情報という履歴書には1行も書かれない——これが自社ローンの構造的なデメリットです。

なお、これは支払いが「悪い記録として残る」という話ではありません。良い記録も悪い記録も含めて、そもそも何も残らない、という話です。

この記事の核心

数年かけて完済しても「実績ゼロ」——将来こう響く

仮に、3〜5年間、一度も遅れずに支払いを続けて完済したとします。それ自体は誇れることです。しかし信用情報の上では、その期間は「空白」のままです。住宅ローン、クレジットカード、次の車のローン——将来の審査の場面で、その数年間の支払いは、返済実績として一切評価されません。

同じ年数・同じ金額を「記録に残る形」で支払っていた場合と比べてみます(架空例)。

A:記録に残る正規ローンで5年間支払った場合

  1. 契約の情報が信用情報機関に登録される
  2. 毎月の入金状況が記録され続ける
  3. 完済の事実が記録される
  4. 次の審査で、5年分の返済実績として参照される

B:自社ローンで5年間支払った場合

  1. 契約は信用情報機関に登録されない
  2. 毎月の支払いも記録されない
  3. 完済しても記録は残らない
  4. 次の審査では、実績のない状態のまま判断される

※架空の例です。審査の可否や条件を保証・示唆するものではありません。信用情報は審査における判断材料の一つです。

信用情報を「育てる」支払い方とは

信用情報を育てる方法は、特別なことではありません。信用情報機関に加盟している正規のローン会社・信販会社・銀行を通じて契約し、期日どおりに支払い、完済する。この全過程が記録され、あなたの信用力として積み上がっていきます。

車は、人生の中でも大きな買い物です。だからこそ、数年間の支払いを「支払って終わり」のコストにするか、「将来の信用につながる実績」に変えるかで、その後の選択肢が変わってきます。いつか住宅ローンやクレジットカードを、と考えているなら、「記録に残る払い方」を選ぶ価値は十分にあります。

もちろん、支払い方を比べるときには総支払額の視点も欠かせません。金利表示と総額の関係は、シリーズ記事「『金利0円』のカラクリ——車両価格上乗せの構造」で詳しく解説しています。

そのうえで、完済すると信用情報が育つ、正規ローンという選択肢も検討してみてください。

まとめ

  • 信用情報はCIC・JICCなどに記録される「支払いの履歴書」で、良い返済実績(クレジットヒストリー)も積み上がっていく
  • 自社ローンは信販会社・銀行を介さないため、契約も返済も信用情報に記録されないのが一般的
  • 数年かけて完済しても信用情報上は「実績ゼロ」のままで、住宅ローンなど将来の審査で返済実績として評価されない
  • 信用情報機関に加盟する正規ローンで契約し、期日どおりに完済すれば、その全過程が将来の信用力になる

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